トレス・ヤギ被告もたぶん死刑だな

時事

広島市で０５年１１月、小学１年の木下あいりちゃん（当時７歳）が殺害された事件で、殺人罪などに問われたペルー国籍のホセ・マヌエル・トレス・ヤギ被告（３６）の控訴審判決が９日、広島高裁で始まった。楢崎康英裁判長は無期懲役とした１審・広島地裁判決（０６年７月）を破棄し、審理を同地裁に差し戻した。

一方、検察側は翻訳作業などに手間取り、１審の公判前整理手続きに間に合わなかった、トレス・ヤギ被告がペルーで女児への強制わいせつの疑いなどで起訴された刑事記録などを証拠として提出し、控訴審では一部が証拠採用された。

1審の広島地裁では、検察の不手際もありペルー時代の性犯罪が証拠として採用されなかった。今回の控訴審（広島高裁）からペルーでの前科前歴も法廷に出されて証拠採用された。高裁の楢崎康英裁判長はおそらく死刑判決を出すつもりだったんだろうが、しかしそれでは高裁で新証拠を採用し死刑、上告して最高裁で死刑と実質1回しか新証拠に関して審理せず死刑判決を出すことになってしまう。最高裁では審理はほとんどしないから。

これでは絞首台にのぼるヤギ被告があまりにもかわいそうだから、3回裁判を受ける権利を与えるために地裁に差し戻したのだろう。性犯罪の前科があって再度性犯罪（それも殺人）を起こしたのは奈良の小林薫死刑囚と同じである。昔なら小林薫死刑囚も無期懲役判決だったが、厳罰化の流れで被害者が1人でも死刑判決になった。

私は強盗殺人や強姦殺人は被害者の数に関係なく、被害者が1人でも極刑を持って処すべしという考えなので、ヤギ被告に死刑判決が出ても当然だと思う。木下あいりちゃんのご両親が、わざわざ強姦の事実を明かしてまで被告に極刑を求める記者会見を開かれていたが、こうやって犯罪被害の遺族が死刑を求める運動をしなければいけないのは酷だ。娘さんが殺されただけでもつらいのに、なぜ法廷闘争までしなければいけないのだろうか。

光市の母子殺害事件でもそうだが、遺族ができる限り早くに社会復帰できるためにも、このような法廷闘争に忙殺されないよう強盗殺人や強姦殺人は被害者が1人でも死刑という判例をはやくに確立して欲しい。