過剰コンプライアンス

トヨタ自動車は28日、『ヴィッツ』『ベルタ』『ラクティス』の、座席ベルトと排気ガス再循環装置に不具合があるとして、国土交通省にリコール(回収・無償修理)を届け出た。対象となるのは、2005年1月18日 - 2008年4月7日に製作された3車種計52万5898台。

座席ベルトの不具合は、センターピラー下部のベルトテンショナ(衝突時に座席ベルトの緩みを瞬時に巻き取る装置)付前席ベルト巻き取り装置付近に遮音補助材を設定したため、ベルトテンショナが作動した際に発生する高温ガスにより補助材が溶損し、火災に至るおそれがある。

全車両補助材を取り外す。不具合発生件数は2件で市場からの情報で発見した。火災事故が1件起きている。

52万台中の1台が衝突事故後に炎上した。しかし、その火災が原因で死者がでたのか明らかではないが、おそらく死者は出てないのではないか。今回のリコール報道を見ても、死者が出たという報道は一切なかった。52万台も出荷されたうちの2件に不具合が起き、うち1件が炎上した。だが車とはガソリンと積んでいる以上、大きな事故を起こせば発火のおそれはどの車にもある。衝突事故後にシートベルトテンショナー付近の遮音材が燃えるかもしれないという非常に低い確率のものを、何十億と費用をかけてリコールする必要があるのだろうか。私はその必要はまったくないと思う。今回のリコールは過剰反応だ。

ではなぜトヨタの経営陣がリコールすることを決断したのか。それは警察対策である。トヨタハイラックスサーフのステアリングロッド問題で警察の介入を招くことになった。だから今回のヴィッツ・ベルタ・ラクティスでは警察の介入を招かないようにリコールをうったのである。それはまさにお殿様(豊田章男氏)を守るためには絶対必要だったのだろう。司直から殿様を守るための過剰コンプライアンスである。

このリコール費用は回り回って新車の価格上昇につながり、消費者が高い金を支払わされるだけである。まったくもって腹立たしい。

また、排気ガスの不具合など人命に関わらないものをリコールするのはさらにやりすぎだ。こんなものは不具合のでた車だけを個別に修理すればすむことだ。リソースの無駄遣いというほかない。

この手の過剰コンプライアンスコンプライアンス不況は枚挙にいとまがないが、経営者が経済合理性よりも自らの保身に走る状態では、景気の回復など当分望めそうにない。

フォード・ピント事件

トヨタ自動車は、シートベルトとEGR(排ガス再循環装置)の不具合により「ヴィッツ」「ベルタ」「ラクティス」の3車種、合計52万5898台をリコールすると発表した。対象となるのは、2005年1月18日?2008年4月7日に製造した車両。

シートベルトの不具合は、センターピラー下部にあるベルトテンショナ付きシートベルトの巻き取り装置付近に設定した遮音補助材が、衝突事故でベルトテンショナが作動したときに発生する高温ガスにより溶損することがあるというもの。最悪の場合、出火する恐れがある。対策として、全車両の補助材を取り外す。この不具合に関する報告は2件で、室内の一部が焼損する火災事故が1件報告されている。

EGRの不具合は、EGRパイプの強度が不足しているため、排ガスの熱でパイプが伸縮することにより、パイプに亀裂が生じることがあるというもの。異音が発生し、排ガスが漏れる。使用を続けると亀裂が進行してパイプが折損し、最悪の場合、排ガスの基準値を満たさなくなる恐れがある。対策として、全車両のパイプを対策品と交換する。この不具合に関する報告は28件で、事故は報告されていない。