陸自隊員がアフガンの地で死ぬ日

アフガン増派を主張しているバラク・オバマアメリカ大統領に当選した。オバマが大統領になれば、アフガン増派に関して同盟国に応分の負担を求めてくるだろう。もちろん日本にも地上部隊の派遣を求めてくるに違いない。そう、湾岸戦争の時の再来である。

湾岸戦争の時に日本は自衛隊を出すかどうかですったもんだし、結局130億ドルのお金を出すことで解決した。なぜかしら外務大臣や首相が訪米するのではなく、当時幹事長だった小沢一郎が訪米し勝手に資金提供を決めてきてしまった。独断専横である。

さて今回はどうするのだろうか。やはり100億ドル前後の資金提供で解決を図るのであろうか。それとも陸自を出すのだろうか。小沢民主党はISAFに参加すべきだと以前から主張している。海自がインド洋で補給活動するのは憲法違反(集団的自衛権行使なので)だが、国連の元でアフガンに地上部隊を出すのは合憲だという論法だ。国連に指揮権をゆだねれば、自衛権行使には当たらないから憲法違反でないというのが彼らの主張だ。しかし、国連などといううさんくさい組織に隊員の生死を任せてよいものだろうか。あまりにも国連を美化しすぎて幻想を抱いているとしか思えない。国連原理主義とでもいうべきか。私は自衛隊の隊員の生死は、あくまでも日本国政府が責任を持つべきで、指揮権も日本国が持つべきだと思う。そうしないと万が一隊員が死んだ場合、誰が責任を持つというのか。国連の参謀が持ってくれるわけがない。作戦が失敗したときの責任体系が曖昧なまま、自衛隊の指揮権を国連にゆだねるべきではないだろう。

一方、麻生自民だがこちらもアフガンへの陸自派兵を言及したことがある。ただ、本当にやるつもりなのかはわからないが麻生太郎の中に陸自を出してもいいという考えがあるのだろう。もしアメリカ政府がアフガンへの地上部隊派遣を強硬に求めてきた場合、その時の総理大臣が麻生太郎なら陸自派兵を政治決断するやもしれん。しかし選挙前には出さないだろう。選挙前に派兵を決断すると、選挙に負ける要因になるからだ。

結局、次の総選挙で自民が勝つにせよ民主が勝つにせよ、陸自のアフガン派兵が現実化する可能性がある。もしそうなればアフガンの地でなにが起こるだろうか。まちがいなく陸自隊員数名の命が失われるであろう。すでにイギリス軍100名以上、フランス軍20名以上、ドイツ軍20名以上の命が失われている。陸上自衛隊を1,000人規模で派兵した場合、隊員が彼の地で無傷でいられるはずがない。あの手この手で自爆テロの標的になる。相手が民間人と思ってすれ違った途端、自爆されるからだ。防ぎようがない。陸自隊員の身の安全を保証するのは不可能だ。

私はアフガンに陸自を出すべきでないと思う。今の海自の補給活動で十分だ。それ以上、アフガンなんかに関わるべきでない。あの地は不毛の地だ。関わってもろくなことがない。

それに陸自隊員が戦死したときに、今の日本では戦死者が尊敬されることはない。戦死者が国家の責任で祀られることもない。はっきりいって死に損だ。これでは戦死者に申し訳が立たない。国家のために戦死した人にどうお祀りするか定められてない現状で、戦死者を出すリスクを冒すべきでないと思う。靖国問題も解決できない状況で、陸自を出すべきではないと思うのだ。陸自を出すなら、せめて死に損にならないようにしてから出してくれ。それは遺族に1億円というかたちで最低限金銭的に損にならないように。戦死者が尊崇されないなら、せめて金銭だけでも酬いてくれと思うからだ。