少女時代@有明コロシアム

以前、少女時代@大阪城ホールのチケットをネットオークションで物色したとき、アリーナ中盤の席で1枚3万円、前方の席で9万円とかなっていて、なんなのこの過剰な人気と驚いたことがある。そもそも定価9300円のぼったくりチケットが前売りで完売しとるしな。
有明コロシアムでのライブの動画を見ても、女性ファンからの歓声がすごい。なんじゃこりゃ。メンバーの顔立ちはわりと篠田麻里子的な大人びた顔やな。全員背も高いし、足も細く長い。日本のアイドルグループだとフレッシュレモンみたいな童顔で背の低い子も必ず混じっているのだが。
ダンスの振りは徹底的に揃える。鬼の練度で。そして日本語に堪能なメンバーもいるし。これも日本のアイドルグループだと、外国語を流暢に話せるメンバーなど絶無に近い。そもそも海外に積極的に売り込もうとしてないわけで。日本の市場だけで十分食っていけるからな。
しかし今後日本でもCD市場が縮小したときに、メンバーに英語や中国語を勉強させて、積極的に海外に拡販していくなんてことになるんだろうか。だが泥縄式に海外に打って出ようとしても、幼少の頃から特訓している韓国アイドルになかなか海外市場で勝てんだろうな。

世界の音楽市場規模比較(2008年度 IFPI資料)

韓国は国内市場規模が非常に小さい。

順位 国名 金額 世界シェア
1位 アメリ 59億7740万ドル 25.4%
2位 日本 51億7110万ドル 22.0%
3位 ドイツ 23億7000万ドル 10.1%
4位 イギリス 22億7490万ドル 9.7%
5位 フランス 13億4250万ドル 5.7%
6位 オーストラリア 5億5530万ドル 2.4%
7位 カナダ 5億3000万ドル 2.3%
8位 イタリア 4億2700万ドル 1.8%
9位 ロシア 3億9520万ドル 1.7%
10位 スペイン 3億7430万ドル 1.6%
26位 韓国 1億1840万ドル 0.5%


日本では韓国ドラマの人気が低迷している一方、アイドルグループが新たな「韓流ブーム」をリードしている。40〜50代の女性を中心に広がり、(ごく一部の層で熱狂的なブームを巻き起こしたという意味で)「ティーカップの中の台風」と言われた韓流ブームが、初めて日本のポップカルチャーの中核層をなす10?20代と接点を持ち、さらに普遍的なパワーを発揮する下地を作っているのだ。
人気グループBIGBANGは今年前半、日本で多数の音楽賞をさらった。5月末、東京・国立代々木競技場第一体育館で開催された「MTV WORLD STAGE VMAJ 2010」で、最優秀ポップビデオ賞など3冠に輝いた。BIGBANGは2月に行われた「日本ゴールドディスク大賞」でも「ザ・ベスト5ニュー・アーティスト」に選ばれている。2008年に初めて行われたBIGBANGの日本でのコンサートはほとんどが売り切れ。2PM、2AM、SHINee(シャイニー)、BEAST(ビースト)、MBLAQ(エムブラック)なども10〜20代の日本人ファンから支持され、活発に活動している。東方神起の活動休止以降、さらに多くの韓国アイドルグループが日本の若い世代の関心を集めているのだ。YGエンターテインメントのファン・ミンヒ広報チーム長は「一足早く人気が出たRain(ピ)やSE7EN(セブン)のファンは30〜50代の女性が多かったが、BIGBANGをはじめとする最近のアイドルグループは日本の10代に注目されている」と話す。
ガールズグループは今年中に日本市場に「無血入城」、つまりすんなりと進出に成功する可能性が高い。KARA(カラ)、4Minute(フォーミニット)などが徐々に人気を上げている中、少女時代は8月25日に東京で約1万人を集めデビューライブを行う予定だ。日本の音楽関係者らは「日本のガールズグループの活動はこのところ足踏みしているので、少女時代の日本進出を機に、韓国のガールズグループがJ-POP界を掌握する可能性は高い」と見ている。K-POPを紹介するチャンネル「Mnetジャパン」のミン・ビョンホ本部長は「日本ではAKB48を除き、ガールズグループの活躍が目立たない。現在、韓国ガールズグループの日本人ファンのうち、80〜90%が10〜20代女性という点も、見通しを明るくしている」と話す。Mnetジャパンの急速な成長も、K-POPに対する日本人の関心の高さを示している。08年1月は加入数が5万人に過ぎなかったが、この2年間で2倍近い9万人に増えた。

突然始まった韓国大衆音楽界の「アメリカンドリーム」がどこか悲しく思える。ある大型芸能プロダクションの幹部はこのように説明する。「今はアイドルグループが絶大な人気を誇っているが、会社としては収益が出ない。BIG BANGやWonder Girls、少女時代が皆同じプロダクションに所属しているならともかく…。内需が十分ならば無理して米国まで進出しようとするはずがない」
すなわち、韓国の音楽市場が構造的に収益の出ないゼロサム・ゲーム(一方で利益が出れば、もう一方で損失が増えること)」の場であるため、米国進出という冒険をしているというわけだ。間違った意見ではない。韓国はまだ音楽の違法コピーが氾濫している。2007年度の違法音源市場の規模は4300億ウォン(現 在のレートで約320億円、以下同じ)台で、合法市場の4700億ウォン(約360億円)と同じ水準だ。そうした中、オフライン音楽市場の規模は2000 年度の4104億ウォン(約310億円)から07年には788億ウォン(約60億円)に急減した。
その代わり、インターネットやモバイル音源市場の規模は07年に4276億ウォン(約330億円)に成長したが、移動通信会社などの取り分などを引けば、音楽を作る人々の手に残るものはほとんどない。文化コンテンツ振興院によると、モバイルを利用した音楽販売の場合、韓国では制作会社の手に渡る金額の比率が販売額全体の25%に過ぎない。しかし日本は30〜45%、米国は50〜55%に及ぶ。
まず変化が求められるのは人々の認識だ。先進国では「音楽はどんな経路を通じてでも、お金を払って購入して聞くもの」という概念が強く定着している。米国で有料音楽ダウンロードサイトitunes」が、MP3プレイヤー「ipod」とともに音楽市場の必須要素として定着できた理由もここにある。
韓国の歌手や俳優たちが求めているのは素朴なことだ。音楽鑑賞に対する正当な代価。人々が今後もこの当然の市場原理を拒否するならば、韓国の歌謡曲をすべて英語や日本語で聞かなければならない日が来るかもしれない。収益のない市場で「無駄骨」を折るよりも、成功してもしなくても「大海」に出て行きたいと願うはずだからだ。BoAの米国進出の裏には、韓国音楽市場の暗い影が隠れている。